建設業者や産廃業者、自動車運搬業者などの方はご存じある方もいらっしゃるのではないでしょうか。今日はこの特殊車両通行許可申請について書いていきます。
特殊車両通行許可制度とは
道路法第47条の2に定められた車両を通行させるときにはあらかじめ通行する道路を管理している「道路管理者」に許可を取らなければならないというものです。許可の期間
原則最長2年以内で、一部の場合(超寸法・超重量の車両など)は1年以内となっています。申請してから許可が下りる期間(標準処理期間)
原則申請が受理されてから3週間以内となっておりますが、実状は申請数が多く2ヶ月~3ヶ月かかる場合が一般的となっています。通行が決まったら早めの申請を心掛けて下さい。専門的な知識が必要で分からない、ご自分でするのが面倒という方は、特殊車両通行許可申請の専門家である行政書士に依頼する方法もあります。
特殊車両通行許可申請が必要な車両(道路法第47条の2)
「車両の構造が特殊である車両」、あるいは輸送する「貨物が特殊な車両」で、幅、長さ、高さおよび総重量のいずれかが「道路法で定める一般的制限値」を超えたり、橋、高架の道路、トンネル等で総重量、高さのいずれかの制限値を超える「特殊な車両」は道路を通行するには特殊車両通行許可が必要になります。
特殊な車両の例
詳しくはイラストが載っている国交省関東地方整備局のHPをご覧ください
一般的制限値
車両の諸元 一般的制限値(最高限度)幅 2.5メートル
長 さ 12.0メートル
高 さ 3.8メートル
重 さ 総重量 20.0トン
軸重 10.0トン
隣接軸重 隣り合う車軸の軸距が1.8メートル未満 18.0トン
(ただし、隣り合う車軸の軸距が1.3メートル以上、かつ、隣り合う車軸の軸重が
いずれも9.5トン以下のときは19トン)
隣り合う車軸の軸距が1.8メートル以上 20.0トン
輪荷重 5.0トン
最小回転半径 12.0メートル
なぜこのような許可が必要なのか
結論から言ってしまえば道路を守るためですが、少し説明させていただきます。道路は公共物であり税金で作られているみんなの財産です。さらに道路は国道、都道府県道、市町村道などの種類がありそれぞれ道路を管理している主体が違います。これらの道路は管理主体の違いだけではなく、道路を設計する規格にも違いがあります。
また、国道だけを考えてみても1号線や4号線などの一桁の国道が一番作りが良く二桁、三桁になるにつれ劣っていくといえます。つまり、各道路にはあらかじめ通行できる条件が決まっています。普通の乗用車を運転しているとあまり意識していませんが大きな車両となると問題が起きてきます。
例えば、一般的制限値を超えるような大型の車両が細い道や細い橋、低いトンネルのある道路を通ってしまったらどうなるでしょうか。通行している車両が壊れるだけではなく、道路自体が壊れる可能性もありますよね。
つまり、このようなことを防止する目的で一般的制限値を超える車両の通行には、あらかじめ道路管理者の許可を取らないと通行できないようにしているのです。
罰則について
許可なくまたは許可条件に反して特殊な車両を通行させた者、または道路監理員の命令に違反した者などに対しては、道路法に罰則が定められています。以下の6項目が道路法に定められている罰則の規定ですが、6番目に、違反行為をしたもののみならず会社や社長も同じく罰せられる両罰規定があります。罰則を受けた場合、事業許可の取り消しに発展する可能性がありますのでご注意ください。
1、車両の通行が禁止または制限されている場合、これに違反して通行させた者、許可条件に違反した者は6箇月以下の懲役または30万円以下の罰金(道路法第103条第4項)
2、道路管理者または道路監理員の通行の中止などの命令に違反した者は6箇月以下の懲役または30万円以下の罰金 (道路法第103条第5項)
3、車両の幅、長さ、高さ、重さ、最小回転半径などで制限を超える車両を道路管理者の許可なく通行させた者、または許可条件に違反して通行させた者は100万円以下の罰金 (道路法第104条第1項)
4、特殊な車両を通行させるとき、許可証を備え付けていなかった者は100万円以下の罰金(道路法第104条第2項)
5、車両の幅等、個別的に制限されている道路に車両を通行させて、通行の中止、総重量の軽減、徐行などの道路管理者の命令を受けながら、それに違反した者は50万円以下の罰金(道路法第105条)
6、 法人の代表又は法人若しくは人の代理人、使用人その他従業者が、違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人または事業主に対しても同様の罰金を科する(道路法第107条)
最後までお読みいただきありがとうございます。
特車申請は是非「頼れる街の法律家」である行政書士にご依頼ください。